ご無沙汰しております。
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/2019S_syllabus.pdf
転任先のシラバス(上記)もすでに公開され、わたしの名まえも出ておりますので、来年度の予定を明かします。
今年度末で筑波大学を退職し、4月から東京大学総合文化研究科(駒場キャンパス)言語情報科学専攻に勤務することになりました。
筑波大学のあまりにもの惨状に、「もはやこれまで」という感情になったのが正直なところです。転任というより「脱出」です。
現在の中期計画の終了する2021年度末まで人事は原則凍結とあって、定年退職教員の後任も補充できないため、急激に環境が悪化しています。
「学位プログラム化」と称して、たとえば「博士(言語学)」などの同一名称の学位を出す部局を実質的に合同させる改革を実行に移そうとしていますが、この改革に積極的な意義はなく、要するに教員減による教育内容の貧弱化を糊塗するため、より大きな単位でまとまるだけの話です。しかしこれがいちいち文科省の認可案件になり、計画を書かされるのは現場の教員です。
「フランス語学」というまとまりは、学部では来年度から、大学院は再来年度から「言語学」という大きなかたまりの中に溶け込ませる形で発展的に解消されます。
これではわたしが筑波にいつづけても、近い将来、なんのためにいるのかわらなくなりそうです。
また、実効性を考えない早合点の思いつきを「改革」と称して学長・執行部がトップダウンで実施しようとしているのが耐えがたいことでした。
東大や北大の猿真似で、再来年度から「大くくり入試」をしようとしておりますが、教養教育の厚い基盤のない大学でそれをするのはとても無理で、端的にいってどうやって時間割を組むのか、学部未決定の学生をどうやって教育するのかという問題を声をかぎりに提起しましたが、上層部は聞く耳をもたず、もう走り出しています。
だいいち、その「改革」の成否がわかるころには、いまの上層部は交替してもう居ないので、責任もとらないでしょう。
一方の東大は、研究の前提条件がよく整っていることが、行く前からかなりはっきりわかっております。
とはいえ、人文科学はどこでも冬の時代であることには変わりありません。こんどこそ耐えぬきたいと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
4月から東大にうつります
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Re: 4月から東大にうつります
こちらこそたいへんご無沙汰いたしました。
来年度の予定を教えてくださりありがとうございます。 東京大学への栄転、慶賀に堪えません。 筑波大学上層部の理不尽さに言葉を失います。およそ知的なふるまいとは思えません。 「改革」と称するものが成功したためしは歴史上一度もないのだからやめるべきだと喝破したのは蓮實重彥さんでした。 沈没する船からは脱出するにしくはありません。 新天地が人文科学の孤塁を守ってくれますよう祈ってやみません。
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Re: 4月から東大にうつります
ゆうさん、コメントをありがとうございます。
蓮實重彥のことば、賛同せずにはいられません。 矢継ぎ早に異なる種類の「改革」を持ち出されるたびに、「それをするなら、前回の『改革』は何だったのか」という思いになります。 今後はこのような思いをすることが少なくなるもの予想され、その点はほっとしております。
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Re: 4月から東大にうつります
政治家も役人も「前回の改革は失敗でした」とは決して認めない。
真相は「前回までのすべての改革は失敗だった」のですから、「今回の改革も必ず失敗に終わる」のは理の当然です。 どうか東京大学でのびのびと研究と教育に励んでください。
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Re: 4月から東大にうつります
さっそく巻頭言で言及くださり、ありがとうございます。
いわゆる「改革」に関わらされて苦しんでいる研究者は本当に多いと思います。それだけでも日本の研究・教育に対する莫大な損失です。 東大でわたしが所属する総合文化研究科言語情報科学専攻という部局は、1990年代、教養学部も独立した大学院をもとうとして動いたとき以来つづいている組織ですので、「朝令暮改」の度合いははるかに低く、良識的と期待しております。
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Re: 4月から東大にうつります
巻頭言をお読みくださりありがとうございます。義憤にかられて公開しました。
「改革」がもたらす人的資源の損失ははかりしれません。研究者には思う存分研究と教育に没頭できる環境を整えるべし。 東京大学の部局が期待どおりの組織でありますよう願ってやみません。
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Re: 4月から東大にうつります
うわぁ、話のレベルが高すぎてついて行けませんが、
とにかくじゅんやさんが新天地へ赴くことはわかりました!! おめでとうございま~す! 新しい環境でじゅんやさんがのびのびと生活でき、 またお友達がたくさんできますように!!(子供か)
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Re: 4月から東大にうつります
S先生の奥さま、ゆうさま、ありがとうございます。S先生の奥さま、ご無沙汰しております。
いえいえ、わたしは「見た目はおとな、中身は子ども」を標榜しておりますので、子ども的であることはうれしいことです。 でも、しばらくは事務手続きが多く、これをくぐりぬけるまではたいへんそうです。 きのうは辞令交付式、そしてきょうはさっそく大学院のオリエンテーションと、専攻会議でした。 専攻長が以前から存じ上げているかたで、面接のときもお世話になったのですが、鷹揚せまらぬ進行で、専攻の雰囲気もそれに応じるかのようにやわらかく感じました。 今後もどうぞよろしくお願いいたします。
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Re: 4月から東大にうつります
初仕事が気持ちよく進んだご様子、わがことのように嬉しゅうございます。
事務手続きは煩累に堪えないと思いますが時が経てばおのずから片づくでしょうし、専攻長が旧知のかたで穏やかなお人柄なのは地獄に仏、いやいや東京大学は地獄ではないでしょうから天国で仏、心がなごみます。 新天地での弥栄を祈ってやみません。
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